はじめに

素因数分解そのものは、できている。
計算も合っている。

それなのに――
定期テストや入試問題になると、点につながらない。

答案を見ると、

  • とりあえず素因数分解している
  • でも、その先で止まっている
  • 「これで何が分かるの?」という状態になっている

こんなケースをよく見かけます。

これは練習量不足でも、計算力不足でもありません。
もっと根本的なところで、つまずいています。

素因数分解が使えない原因は「意味づけ」にある

多くの生徒にとって、素因数分解は
「言われたらやる計算」
になっています。

一方で、

  • 最大公約数
  • 最小公倍数

は「別の単元」として処理されています。

つまり頭の中では、

  • 素因数分解
  • 最大公約数
  • 最小公倍数
  • 入試問題

バラバラの引き出しに入っているのです。

その結果、入試問題で
「割り切れる」「共通して含まれる」「同時に起こる」
といった言葉が出てきても、
「ここで素因数分解を使う」
という発想が、そもそも浮かびません。

素因数分解の本当の意味

ここで一度、素因数分解を一言で言い直すとこうなります。

素因数分解とは、その数が
「どんな部品でできているか」を見ること

これがすべてです。

計算の手順が大事なのではありません。
分解した結果、何が見えるかが大事なのです。

素因数分解で「見えてくる3つのこと」

素因数分解をすると、次の3つが分かります。

① 共通している部品は何か

最大公約数的な見方として、

  • 同時に割り切れる
  • 共通して含まれる

といった条件が出たら、
「共通している素因数はどれか?」を見る場面です。
最大公約数は、
この見方に名前がついているだけです。

② 足りない部品は何か

最小公倍数的な見方として、

  • 同時に起こる
  • そろう
  • 最小で満たす

といった場面では、
「足りない素因数を補う」必要があります。

これも、最小公倍数とやっていることは同じです。

③ 条件を満たす形になっているか

また、

  • 〜で割り切れるか
  • 整数になるか

という問題では、
「必要な素因数がそろっているか」を確認します。

分解は、
条件をチェックするための道具なのです。

なぜ入試問題で気づけないのか

最大公約数や最小公倍数の問題では、
「最大公約数を求めよ」
と書いてあります。

だから生徒は、
「この問題では素因数分解を使う」と気づけます。

しかし入試問題では、そうは書いてくれません。
代わりに出てくるのは、

  • 割り切れる
  • 共通して含まれる
  • 同時に起こる
  • 最小で満たす

といった言葉です。

ここで
「これは最大公約数的だな」
「これは最小公倍数的だな」
と結びつかないと、

とりあえず素因数分解する
→ でも次に何を見ればいいか分からない
という状態になります。

これは問題数を増やしても解決しない

同じタイプの問題を何問解いても、

  • 使う場面に気づけない
  • 見るポイントが分からない

という状態は、なかなか変わりません。
なぜなら、
「この言葉が出たら、どの見方を使うか」
という対応関係を、
一度も整理していないからです。

素因数分解は「計算」ではなく「観察」

素因数分解は、
計算のテクニック
ではなく
数を観察するための道具
です。

最大公約数・最小公倍数は、
その使い道の中でも
いちばん分かりやすい例にすぎません。

まとめ

素因数分解が使えない原因は、

  • 計算ができないから
  • 練習が足りないから

ではありません。

素因数分解で
「何が分かるのか」
「何を見るための道具なのか」
が整理されていないだけ

ここが一本につながった瞬間、
素因数分解は
「とりあえずやる作業」から
考えるための武器に変わります。

それでは、具体的に素因数分解を
どのように使いこなすことができるのか、
こちらの記事で紹介します。